家族の借金は本人以外でも解決できる？
◇本人以外の債務整理は不可
結論から言いますと、借金をしている本人以外が債務整理をすることは不可能です。借金の情報というのは極秘の個人情報にあたりますので、家族であっても本人の許可なく教えてはいけません。本人以外では債務整理を行う時に必要な書類を取り寄せることができないので、本人以外が手続きを進めることはできません。
弁護士、司法書士などの専門家に借金の問題を依頼する場合には、その代理人としてすべての作業を行ってくれますが、依頼時には例外なく本人と面談をすることが不可欠になります。
【借金をした本人以外の依頼ができない訳ではない】
実は、委任状を使用することで、貸金業者との交渉をすることは可能です。専門の司法書士や弁護士以外が報酬を受け取り代理交渉を行うのは法律に反しますので、前提として無償で引き受けることになります。
債務整理などの借金解決の手段は、基本的に本人の意思によって行われるものです。ですが、それは借金をした本人の意識がはっきりとしている場合の話であって、例外的に後見人として認められる時もあります。
例を言いますと、債務者本人が高年齢のため自分自身で判断できない場合や、病気や事故により依頼できない場合には、家庭裁判所に後見人を選んでもらうことで、親族でも債務整理の依頼ができます
【債務者が死亡してしまった場合】
家族の借金でも、債務者が死亡して家族が借金を相続した場合は話が違ってきます。遺産相続と言っても現金や不動産などプラスになる遺産ばかりでなく、故人の借金も遺産相続の対象となります。相続する配分や順位は、必ずではありませんが基本的には以下のようになります。
1・配偶者は常に相続人である。
2・配偶者以外は次の順番で相続する。
第一位：子
第二位：被相続人の父母、祖父母
第三位：兄弟
【借金を相続したくない時はどうすれば良い？】
例外はありますが、一般的には亡くなった方が夫であれば、まずはその妻が相続し、子供がいる場合にはそこから半分ずつの相続となります。借金があまりに大きく、プラスになる財産よりもマイナスになる財産が多い場合、「遺産相続の放棄」が可能となります。相続の放棄をする場合には、故人が持っていた資産もすべて放棄する必要があります。
遺産相続の放棄は、『自己のために相続の開始があった時』から最低でも3カ月以内に、家庭裁判所へ書類を提出する必要があります。『自己のために相続の開始があった時』とは、自分自身が相続人であることを知った時ということですので、その時から数えて3カ月となります。
因みに、遺産相続の放棄をする前にその遺産を処分したり、相続放棄したにも関わらず遺産を隠していたりした場合には『法定単純承認』とみなされ、自動的に遺産相続を承認したものとし、その時は借金の放棄もできなくなってしまいます。
個人の借金に保証人が付いている場合には、借金はその人の代わりに保証人が支払うことになります。この場合、相続人はその保証人が本当に借金返済できるのかどうかを事前に確認するようにしましょう。
【借金を相続する場合は】
借金を相続する場合にはどうすべきか。貸金業者などの債権者の言う事をそのままに返済を開始して大丈夫なのか、事前に確認すべきことはどのくらいあるのかをチェックしていきましょう。
[1]自分が相続した借金の状況を調べる
どこからいくら借りているのかを全て調べましょう。完済している借金に関しても、過払い金が発生している可能性がありますので、最終取引日から10年以内のものに関して調べ逃しがないようにする事が必須となります。
借金の状況を簡単に調べる方法としては、利用明細書や利用明細書、キャッシングカード、クレジットカード、または預金通帳の引き落とし履歴を見たり、信用情報機関から情報を取り寄せることをオススメします。
[2]過払い金が有るか無いか調べる
貸金業者との取引履歴を入手して、過払い金があるかどうか、正しい金利で引き直し計算をします。自分自身で行うこともできますが、多数の取引がある場合には専門司法書士などに相談した方がより確実でしょう。
[3]完済・返済中の借金の相続人を決める
相続する人が複数人いる場合には、完済した借金、返済中の借金は一体誰が相続するかを決めます。全員で等分して相続するか、特定の人が相続するかという事になりますが、これによって、『過払い金に関してもおのおので請求する』、『全員で請求する』、『代表者1人が請求する』、というように請求方法を選ぶなります。
相続した借金の過払い金返還請求には以下の書類が必要となりますので、併せて覚えておきましょう。
・被相続人の戸籍（出生から死亡時までのもの）
・相続人全員の戸籍
・遺産分割協議書（印鑑証明付き）
・委任状
[4]住宅ローンの時は団体信用生命保険を確認する
相続した借金の中に住宅ローンがある時は、『団体信用生命保険』に加入しているかどうかを確認しましょう。この保険により、債務者が死亡した場合には生命保険によって住宅ローンが完済する事になっています。
借金だと思っていた相続が、本当は数千万円のプラスの遺産に変わる可能性があります。必ず、団体信用生命保険への加入を確認し、あやふやな判断で相続放棄をしないように気を付けましょう。
債務者が死亡してしまった後に、その借金の状況が現在どうなっているのかを調べるのは非常に大変です。生前から家族に借金を秘密にしている人もかなり多いため、死後になり借金が発覚するケースも少なくありません。この点は非常に重要な点ですので、必ず覚えておきましょう。
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